正月早々の妄想−四畳半神話大系/森見登美彦

あけましておめでとうございます。お正月から固い本を読む気になれなかったので、後輩推薦の小説を読んだ。作者は、京大の農学部出身のお方だそうだ。

すべての大学生がとは言わないが、(特に理系の!)一部男子大学生が、大学生活半ばでこう後悔をする。僕の大学生活はこんなはずではなかったと。なぜか。彼女の一人でもいて、もっと楽しい大学生活を入学当時は思い描いていたのに、現実があまりにもかけ離れているから。

この小説は、華やかさがまったくない大学三回生・男(主人公)が、男汁溢れるしょうもない下らない話が、変わった古風な文体で綴られている。たらればの選択別に四つのストーリーがパラレルワールドで展開されるミステリーだ。黒髪の明石さんというヒロインがいる。その子に関する記述はある程度あるんだけど案外多くの情報がなくて、読んでいると自分の好きなように明石さんを妄想できてしまう。楽しかった。