証明写真

 TOEICの受験票にはる証明写真を撮るために、スーツを着て、ネクタイ締めて、一人でスピード写真機の中に入る。目の前のディスプレイに映る僕は、毎朝毎朝洗面台の鏡でみる僕と何にもかわらない。ちょっと微笑んでみる、そして、パシャ。
 スーツを着て、証明写真に並んだ6枚の僕は、そこら辺によくいる若いおっさんにしか見えなかった。子供の頃は、なんだってなれる気がしてた。もっと自分らしく、他の人とは違う自分になれると思い込んでた。結局、いつも、最後は、なんてことない僕しかいない。